第7章 Nostalgic Noise
巨漢の男、兕丹坊の斧が一護に壊され、兕丹坊は負けを認めた。負けたのだからと兕丹坊は流魂街と瀞霊廷を隔てる白道門を持ち上げる。
「「「「う……おおおおおおおっ!!」」」」
果たして何トンなのかという程に高い壁を持ち上げていく兕丹坊に4人は感嘆の声を漏らした。
「……どうした?なに止まってんだ?何かあったのか?」
しかしそれから全く動かない兕丹坊の姿を心配し、一護が駆け寄ると兕丹坊が搾り出すように声を出した。
「さ……三番隊隊長……市丸ギン……」
「あァ、こらあかん」
それは一瞬の出来事だった。兕丹坊の左腕が斬られ吹き飛んでいた。
「……あかんなぁ……門番は門開けるの為にいてんのとちゃうやろ」
「な……何だ!?今……今あいつ何をした!?」
兕丹坊は片腕を失いながらも、何とか残った右腕のみで門を持ち上げていた。
「おー、片腕でも門を支えられんねや?サスガ尸魂界一の豪傑。けどやっぱり、門番としたら失格や」
「…………!!オラは負げだんだ……負げだ門番が門を開げるのは…あたまり前のこどだべ!!」
「ーー何を言うてんねや?わかってへんな。負けた門番は門なんか開けへんよ。門番が"負ける"ゆうのは……"死ぬ"ゆう意味やぞ」
市丸が兕丹坊に言い放った直後、一護は市丸に向かって一直線に走り出し刃を交える。
「なんて事しやがんだこの野郎!!兕丹坊と俺たちの間でもう勝負はついてたんだよ!それを後から出てきてちょっかい出しやがってこのキツネ野郎」
隊長格の強さを知らない一護の無鉄砲さに夜一は愕然としていたが、その間にもやり取りのつづく2人を止めに入ろうとした。
「もう止せ一護!!ここはひとまず退くのじゃ!!」
「なんでだよ!?こっからじゃねーか!」
止めようとする夜一に一護は反抗する。市丸は旅禍の死神が黒崎一護だということを知り、尚更通すわけには行かないと斬魄刀を一護向けた。
「射殺せ『神鎗』」
解号と共に伸びた刃が一護と兕丹坊を吹き飛ばす。次の瞬間、一陣の風が一護の横を通り過ぎたかと思うと刃が縮み、一護が認識できた時には市丸の斬魄刀が再度伸びており、別の人物と刃を交えていた。
「それは見縊りすぎとちゃう?」
「くっ……」
「は?……なんで、なんで綴がここにいんだよ!?」