第7章 Nostalgic Noise
綴が詠唱を終えると同時に一護達と拘突との間を隔てる壁が出来た。
「……なんだ、あれ?」
「何をしておる!!早く走れ!!」
拘突が勢いよくぶつかってもビクともしないその壁に4人は瞠目する。しかし、夜一の声に置かれてる状況を思い出し皆は再び走り始めた。
「あれは?」
「縛道の八十一、断空。死神が使う鬼道の一つじゃ。高位の術にはなるが、術は術。霊力を使って出来ているのは変わらん。幾ら使い手が優秀であったとしても数秒も保たん」
織姫が疑問を声に出せば、振り返ることなく夜一がそれに答える。その言葉は間違えではないようであれ程頑丈であった壁もミシミシと音を立てており、崩れ始めているのが分かる。
拘流と拘突の性質は基本的に同じだ。霊体、霊力を絡めとる。霊力で行動を行う死神にとっては拘突は分が悪いモノであった。
「あれが出口じゃ。行け!!」
拘突独特の暗闇にポツンと四角い光の穴があった。それが夜一の言う出口なのだろう。
「うおっ!?」
走る勢いを落とさないまま一護達はその光へ飛び込んで行った。光の中で身を投げ出す一瞬、一護は後ろを振り向く。すると、まだ夜一は断界に残っていた。
夜一はガシャガシャと壁が崩れ落ちているのが分かるが辛うじて拘突を止めるという役割を果たしている壁に声をかける。
「綴、もう良い。彼奴らは無事尸魂界へ辿りついた」
その言葉は何とか聞き取れるが、すぐに一護の視界は白ずみ明るくなる。ここで聞くはずのなかった名前が聞こえたような気がしたがまだ空を飛んでいる一護にはそれを聞く方法はなかった。