第7章 Nostalgic Noise
綴が断界に足を踏み入れた途端、後ろから拘流が迫ってくるのが見て取れ急いで瞬歩で駆け抜ける。どうやら一護達が入った時点で拘流の進みは始まっていたようで、一気に出口まで進んでしまったがそこまで急ぐ必要は無かったと綴は止まって息をついた。
雨竜の服装で一悶着あったようで少しグダりながらも、4人の足の速さを比べても出口には無事辿り着けそうな間合いだった。
そこに雨竜の焦った声が響く。
「な……何だこいつは!?」
ドドドドドと拘流を裂く勢いでやってくる何かにより状況は一変した。
あれは……。もしかして『拘突』?
「『拘突』じゃ!!七日に一度しか現れぬ"掃除屋"が…。何も今出ずともよいものを!!とにかく逃げろ!!此奴は恐ろしく速いぞ!!」
夜一の張り上げる声に自分の認識で間違いないと確信する。
断界などと不確かなもので現世と尸魂界を行き来したことなど無い綴にとって、真央霊術院で習ったことがありはすれども実際に見るのは初めてだった。
夜一の言うように7日に1度しか現れない拘突は中に入ってきた異物を消し去る為の存在で、拘流の比では無い程に恐ろしく速い。
瞬歩や飛廉脚、響転を使えない彼等に拘突を振り切って出口まで走り抜ける事は難しいように思えた。猫の状態の夜一に拘突を止められる術はない。
なら……。私が止めれば良いだけのこと。どうせここで行動を共にするのだから。
綴は霊力を集中させる。久方ぶりの詠唱に少し身を震わせながらも、口は覚えているようでその長いブランクなど感じさせないほどに滑らかに動く。
「縛道の八十一 『断空』」