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LIvERARTE【BLEACH】

第4章 The Straight Road


傘についた雨の雫が家の中に入らないように慎重に落とした後、浦原商店に入る。浦原が「ただいま帰りました」と声を出せば奥から黒いよく手入れのされている立派な毛を持った猫がトコトコとやってきた。

「大雨みたいじゃな。ついていかなくて良かったわい。儂の大事な毛並みが台無しになるところじゃった」
「お久しぶりです、夜一様」
「うむ。お前さんも元気そうじゃの」

その黒猫は一護を抱えたまま玄関に立つ綴の姿を見ると面白そうにコロコロと笑う。そんな中、楽しげな夜一に向かって綴はずいっと一護を差し出した。

「夜一様、あの」
「なんじゃ?」
「一護、受け取って貰えますか?」
「夜一サン、お願いします」

お願いと言いながら2人とも有無を言わさない表情で「お前さんら儂の使い方が荒いんじゃい!!」とムスッとしながらも夜一は人間の姿に戻り、渋々と一護を受け取るのであった。手元が空になった綴は踵を返して玄関の取っ手に手をかけた。

「じゃあ私はこれで」
「綴は寄っていかないのか?」
「万が一起きてこられたら面倒なので」

確かに夜一が両手に持つ一護の怪我は傍目で見てほぼ治っているようだ。綴がこの移動の間に8割方治してしまったらしかった。これであればあと1時間もしないうちに起きてしまうだろう。

「喜助、あとはよろしくね」
「ハイ、了解してますよ。綴サンは予定の日まで休んでいてください。くれぐれも「分かってるって。大人しくしてる」」

「なら大丈夫っス」と言って浦原は綴の頭にポンと手を置いたあと、居間へと上がる。

「じゃあおやすみなさい」

そう告げた彼女はザーザーと音を立てて降る雨の中に吸い込まれていった。

外から流れる冷たい空気は彼女のいた痕跡を消していく。
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