第4章 The Straight Road
彼らの決着が着くまでそう遠くない距離を万が一死神達に気づかれることの無い様にゆっくりと2人は現場に向かう。その途中、浦原が口を開いた。
「綴サン、アレは止めておいた方が良いですよ」
「あれって?」
全く身に覚えがないと首を傾げる綴を見て浦原は少し前の出来事を思い出しながらため息を吐いた。でも仕方ないのかもしれないと思い直し「何でもないっス」と話題をそのまま切り上げた。
彼女の身体の使い方は9歳のまま止まっていた。
いくら思考が成熟し大人びたからといっても、9歳を何百年と続けた彼女がこの数年で起こった自分の身体の変化とそれに伴う周りの態度の変化に気づけるはずはない。
少し前に示したコンへの感謝の表し方も9歳の時のままだった。
それを今更どうこう言ったところで彼女には何がダメなのか分かるはずもない。そのため浦原は綴に言及するのを止めたのだった。
他の学友の皆さんにもしてないといいんスけど……。
浦原は頭の中でコンのだらけきった顔を思い出した。あのキモチわるい表情を杖で突いて頭から追い出す。そして綴の学生生活の思い描きながら独りごちるのだった。