第2章 人と国は違いますから、
_____幸せそうだったな、ドレスがよく似合っていた、綺麗だった。あれがきっと普通の女の子の幸せで、国と付き合うわたしはもしかしたら一生手に入れられないかもしれないもの。
いくら国の一番側にいるからといっても、わたしは国に生まれたわけじゃない。
ただ、少し他の人よりも長く生きるだけで、イギリスさんとずっと一緒にいられるわけじゃない。
人でもなく、国でもない、わたしは何なんだろうか。きっと私は何人もの級友を見送ることになるだろう、もしかしたらその子供、孫あたりまでは見送ることになるのかもしれない。
今は彼といるだけで幸せだけれど、その後はどうなるんだろうか。
彼女の幸せにあてられてしまった今、イギリスさんへの愛もとまらなければネガティブな思考もとめられない。
涙がつたっているはずの頬は妙に暖かくて、あの寒い日の夜を思い出した。イギリスさんの手は大きくて、暖かい。とても幸せな夜だったんだ、きっと一生忘れない。