第5章 4. ソーダーライト
その言葉に兄の表情に陰りが指す
が、特に何も口には出さないようだ
「そうそう最初から気になっていたんです、こんなお姉様の同伴の方。お姉様には勿体ない!と。お名前教えて頂けますか?」
っ…突然自分が話題にあがりどうしたものかと焦る
どうにか引き攣りそうな顔を普段通りに戻し対応する
『魁と申します。』
「魁さんっていうのね!ねぇ、少し抜けない?
お姉様の隣にいるよりずっときっと楽しいわ」
もう逆らえる気はしなかった
例え何が待ち受けていようと
腕に添えられた雫の手は少女によっていとも簡単に解かれ代わりに少女が腕組みをしてくる
「あ!お姉様も着いてきてね。お兄様、素敵なことをするってお父様とお母様に伝えてくださいませ!」
そう言うとぐんぐんとオレの腕を引いていく
後ろにはとぼとぼと弱々しく歩く雫の姿がみえる
パーティ会場を抜け、一室に入った
そこは上から下が見えるような空間があって
その下のここには大きなベッドがひとつと拷問器具のようなものが並んでいた
「あ!安心してね、痛い目にはあわせないよ。
………未来の旦那様には」
え、
思った時にはもう遅く、何処から取り出したのか注射を俺の腕に少女が刺したあとだった。
『っな、にを』
「時間が経てば分かるよ、ふふ」
「あ!お姉様は上から見ててね」
その言葉通りに雫はその部屋を出て少しの時間の後上の空間に姿を現した