第5章 4. ソーダーライト
それでも兄かと見紛うのは雫と呼んでいるから
家族でなければ2人の少女の…否、
この一方的ないじめのようなやり取りに
入っては来れなかっただろうと思ったから
本当は俺がワインをかけ流そうとする
少女の腕をつかみ止めるべきだった。
ただ一方的に馬鹿にされる雫を少しでも庇うべきだった。
そう分かっていても出来なかったのは自分が入っていい領域に思えなかったから。
「返事の1つも出来ないのか」
「…申し訳ありません、お兄様」
さっきまで妹に一方的に言われ続けていた雫が兄に対し少し嘲るように言葉を発した
その事に疑問を持ったのか雫の兄はもう一度雫をみやる
そして、ある一点をみて目を見開き口を閉じた。
「お兄様?どうして口を閉じられたのですか?
この出来損ないのお姉様にもっと言うことはあるではありませんか」
いつも、雫に対しては味方なのだろう兄が口を噤んだのをみて頭を傾げるが特に気にした様子もなく続ける
「紫色のドレスはその喪のようなイヤカフによくお似合いですよ」
「お姉様のご趣味ですか?もし違うなら贈った男の気がしれませんわ。まるで送った相手に死んで欲しいみたい。」
クスクスと先程よりも笑みを深める雫の妹