第3章 2.
『痕達は、僕が甘えてつけたとでも言ってください。
そうすればヘリオドールは特に何も言わないでしょう』
「ありかと、」
『あまり寝れていないようですね。僕が体を綺麗にしておきますので遠慮なく寝ていてください』
「ん、たすか、る」
僕の言葉に従って眠る彼女を風呂に入れ丁寧に洗う
置いてある服を着せて、姫抱きをしたまま外へ出る
勿論、顔を隠すために深く帽子を被って
『ピンク、居るんでしょう?車を出してください』
暫く待つと前に一台の車が止まりドアが開けられる
『助かります』
「貴方様はダイヤ様の居場所をご存知ないはず。降りていただけますか?」
『…分かりました。よろしくお願いします』
車の中に女王様を寝かせて、運転席に一礼をして
動き出す車を見送る
帽子をより一層深く被って部屋へと戻る
その足のまま洗面所へ向かい、洗濯カゴの中にあるシーツを上から自分に被せる
彼女と交合った証がどっぷりと染み付いたシーツを。
濡鴉の髪にその液体が滴る様は劣情を孕んだ男を見るようでさぞ美しかっただろう
※濡鴉 青みがかった黒髪