第3章 2.
___サファイアside
渡された鍵を使い部屋に入ると
そこには必要最低限の物は揃っており、2人だからか自分1人に与えられた部屋よりもずっと広く綺麗だった。
ただ1つ問題があるとすればそれは、
寝室が1つ。そして、ベットが1つしか無かったことだ。
『なっ…』
驚き固まっている僕の様子を見て、
側にいたペリドットはその部屋から出ていった
「お前が使え」
そう言って
『いや、でも』
「俺は夜ほとんど居ない。だから気にするな」
「お前がいない時に使わせて貰う」
『…分かった』
渋々と言った感じでOKした僕に柔らかく笑い
今度こそ部屋を出ていった
彼は酷く大人びている
車の中でのやり取りもだが、
少し意地を張ってしまう俺に
反抗するのではなく、譲って、諭してくれる
ダイヤや、ビクスバイトといた時の彼は
鋭く、隙がなく組織としての人間を彷彿させた。
時ににこやかに、
時に自分を活かした男に、
だが、柔らかく笑ったあの顔には
闇は一切感じられない。
それも仕事の一つ。
彼の武器のひとつかもしれないが、
本当にあれがわざとだったら、
もう適うわけがないと諦めの心がつきはじめた
最も、こんな所で諦めてなどいられはしないのだが。