第3章 2.
『ふっ…』
思わず漏れてしまう笑み
「何がおかしい」
殺気だった様子で俺を睨んでくるサファイア
『何も?これからよろしくな、サファイア』
人懐っこいと言われる笑みを浮かべて手を差し出す
不審そうながらも手を握り返してくれた所を見ると
まだ嫌われてはいないらしい
「………こちらこそ」
ニセモノでいいじゃないか。
ニセモノの俺にはピッタリのペアだ。
そうだろ? 駿河 廉、くん?
ニセモノにはニセモノを。
だろ?
[着いた。降りろ]
俺とサファイアが降りたことを確認すると最後に言い残して帰った
[そのリングを無くしたら死ぬと思え]
と。
もう離れてて聞こえないがその言葉にはきっとこう続く
[だから、絶対離すな。そして死ぬな]
そんな甘い世界ではないことは十も承知なはずだ。
それでも彼の本当の優しさが隠しきれないのだろう。
なんて甘い奴だ。
…そう、この時は思っていた。