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【ONE PIECE】知らないを知りたかった。

第1章 <気になる奴>


「外を散歩してたら雨が降ってきてな。丁度ここの近くだったから来た」
『は、はぁ…?つまり此処で雨宿りさせろと……』
「そういうことだ」



いつもと変わらぬ笑みでそう答えると、俺の身体を上から下まで見定めた。びしょ濡れになっているから追い返せないはず。



『…別にいいですけど。このまま追い出した所で、風邪を引かれたら慰謝料を請求されかねませんので仕方なくですからね?』
「あぁ。…まァ、お前になら金じゃなくて身体でも良いんだがな」
『冗談はそのサングラスだけにして下さい』
「おい」



俺がそう突っ込むと、ほんの少しだけだが笑った気がした。…なんだ、昨日は一夜を過ごす女のことを言った途端に表情筋を動かすなんて事は無かったんだが…。ちゃんと笑えるんだな、この女。

思った以上に可愛らしい笑みを浮かべるこの表情が暫く頭から離れなかった。じっと顔を見ていたら、視線に気付いたのかすぐに表情を元に戻す。



「……チッ」
『何舌打ちしてるんですか。ほら、早くこっち来て下さい。風邪引きますよ』



そう言って奥の部屋へと案内される。入るとそこは、私室の様だった。ベッドにウォークインクローゼット、小さめの冷蔵庫に小さめのキッチン。机と椅子。2人は座れるサイズのソファ。ワンルームの割には少しばかり大きい部屋に住んでるんだな、と思いながらソファにドカッと座る。2人用かと思いきや、俺が座れば1人用と化してしまう。



『…濡れてるんですから座らないで下さい』
「あー、悪ぃ」
『これで髪とか拭いて下さい。替えの服はどうします?あ、バスタオルならあるんで腰巻きしますか』
「…脱いでも良いのか?」
『嫌ですけど、濡れた服を着たまま部屋に居座られても困るんで。そこは割愛で』



面と向かってそう平然に話す彼女は、警戒心が無いというか何と言うか……。今まで性欲の捌け口として女を抱いて来たこの俺に、タオル1枚になれと?肝が座ってるな、この女。
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