第1章 <気になる奴>
翌朝。
少しでも早く会いたいと思い、朝6時に例の薬局に来た。予想はしていたが店はまだ開いていない。というか何時に開くんだ?
看板を見やると、AM8:00~PM19時と書いていた。
「…あと2時間か」
一旦戻ろうにも、此処から城まではかなりの距離がある。こんな事になるならちゃんと時間を確認しておけば良かったな…。
頭を掻いて仕方ないと思い、元来た道を戻ろうとした時に突然雨が降り始めた。
「チッ…」
舌打ちを1つ零し、店の扉の前まで再び戻る。ここに留まっておけば雨は凌げるだろうが……なんと言っても寒いのだ。暫くは振り続けるであろう雨雲を見上げ、良いことを思い付いた。
扉はガラスで出来ているので、中の様子は外からでも伺える。だが、照明は付いておらず暗い。奥にある部屋からは灯りが仄めいているので、恐らくそこにあの女は居るのだろう。
このまま此処で雨宿りすることも出来なくは無いが、どうせなら暇も持て余すよりアイツと話したいと思った。少し雨に濡れれば、あの女も追い返すなんて事はしねェだろう。
試しにノックをしてみるが、奥の部屋に居るアイツが気付く訳も無く。強硬手段でガラス扉を蹴り破る。大きな音でやっと気付いたのか、奥の部屋から慌てて店の中に来たアイツ。
俺を見るなり目を大きく見開いて、空いた口が塞がらないと言った様子。それもその筈だ。昨日訪れた大男が扉を蹴り破って入って来たんだからな。