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【ONE PIECE】知らないを知りたかった。

第1章 <気になる奴>


再びソファに座り直すと、机にパン1つと珈琲が置かれる。



「……本気でパン1個なのか?」
『はい』
「……そんなに金が無ェのか」
『今のところは貴方が来てくれるお陰で、私の生計を立ててると言っても過言じゃないです』
「…………」



この女の口から発せられた言葉は、信じ難い事だった。俺は昨日初めて此処に訪れて1つの薬を買っただけだ。そのお陰で遣り繰りしていると言うのなら、今まではどうやって生きてきたんだ。考えれば考えるだけ疑問が生まれてくる。…どうにもコイツの心が読めねェ。



『…というのは冗談で』
「オイ」
『この薬局では届け先というシステムがあるんですよ。でんでん虫にお客様からの電話が来て、指示された場所に注文された薬を持っていくという…』
「それを早く言え。本気で心配したじゃねェか」
『お気遣いなく』
「……まァ良い。それよりお前、俺のでんでん虫持ってろ」



届け先システムというものを導入しているらしく、また俺は騙されてしまった。こうも騙しが上手いと転職も考えた方が良いぞ。

…というのはどうでもいい。
俺のでんでん虫を渡しておけば、何かあった時に役に立つだろう。半場強引に押し付けると、渋々受け取るレイラ。



『…死んでも掛けませんから』
「そこまで言うのかよ」
『第一、貴方に掛ける用事とは?』
「…そ、そりゃあ……アレだろ」
『どれですか』
「…………」
『…分かりました。持つだけ持っておきますから、そんなに肩を落としてまで落ち込まないで下さい』



"カウンターの所に置いておきますね"と言って店の方に行った彼女をよそにパンに手を伸ばし一口で食べる。アイツにとっては普通サイズのパンでも、俺にとっては小さい。なので一口で十分。次に珈琲を飲みながら彼女の帰りを待つ。

戻ってきたかと思うと、これまた無表情で『あの扉は勿論、修理してくれるんですよね?修理代も出してくれるんですよね?』



「出すからそんなに青くなるなって。元からそうするつもりだ」
『私1円も出しませんよ…?』
「…お前って一言余計だよな」
『ありがとうございます』
「褒めてねェからな」
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