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【ONE PIECE】知らないを知りたかった。

第1章 <気になる奴>


『あ、次は私が着替えるんで後ろ向いてて下さい』
「見たらどうなる?」
『もう一生此処へは来ないで下さい』
「そりゃあ困るなァ」
『取り敢えず見たら急所蹴りますからね』
「お前って本当容赦ねェよな」



昨日会ったばかりの男と、ここまで冗談を言えるコイツには驚かされてばかりだ。容姿は綺麗な方に入るだろうが、この口の利き方は減点ポイントだな。そうに違いねェと俺の中で勝手に頷く。

言われた通りに後ろを振り向いていると、服の布と布とが擦れ合う僅かな音が静まり返った部屋の中に響く。とりたて耳を澄ましていた訳では無いので、その音が聞こえると鳥肌が立ってしまった。今までは女の服を破って強引にしていたので、そういう脱がす楽しみとやらには興味が無かった。

だが、今自分の後ろで気になる奴が脱いでいると頭で認識してるこの状況ではどうだ?

…変な汗が流れてきたぜ。



『……もう大丈夫ですよ。私は今から朝食取りますけど、お腹空いてませんか?』
「何か食わせてくれるのか」
『あとで腹減ったと駄々こねられても面倒ですからね』
「お前にとっての俺とは」
『…さしずめ、女癖の悪いピンク色の鳥ですかね』
「それは流石に俺でも傷付くぞ…」



そう言うと『冗談ですよ。真に受けたんですか?』という彼女。……こいつ、俺の扱い方に慣れてきてやがるな。まァ、それでレイラが少しでも楽しければ良いのだが。

なんて考える様になった俺は本当に変わってしまった。まさか1人の女にここまで惹かれるとは。



『取り敢えずそこから動かないで大人しくしてて下さいね。パン1個くらいなら分けてあげますよ』
「そんなに貧乏なのか…お前」
『貧乏も何も、薬局開いてドフラミンゴさんが来た昨日の売り上げが初ですからね。私の給料は残酷です』
「だったら俺が何か買ってやろうか?」
『結構です』
「…釣れねェな」



ソファのすぐ傍に設置されている小さめのキッチンの前に立ち、パンを焼き始める女。仕事服である白衣を見に纏ったその後ろ姿は、何かを誘う様な不思議な感じ。一目見ればそう簡単には離せられない程に釘付けになる。
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