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【ONE PIECE】知らないを知りたかった。

第1章 <気になる奴>


『あんまりこっち見ないで下さい』
「照れてんのか?」
『いえ、そういう訳では泣く……腰にタオル1枚の大男に見られる私の身にもなって下さいよ』
「そいつァ無理な話だな」



こうやって他愛も無くこの女と話すのは楽しい。俺に擦り寄って来ない、ルックスと金目当てじゃない女。俺は益々、コイツに惹かれるに違いねェ。

もうそろそろで店が開く8時になろうとした。しかし彼女は一行に準備をし始めない。というか、まだ寝巻きのままだ。



「オイ、そんなに余裕持ってていのか?」
『ええ。こんなに条件が悪い立地の薬局に、お客様はあまり来ないんですよ。……貴方がうちのお客様第1号です。悔しいですけど』
「最後のは要らないだろ。……そうか、俺がお前の初めてか」
『その言い方辞めてください。気持ち悪いですよ』
「俺の下着見たんだろ?」
『…別に。男の人の下着を干した事くらい、過去に何度かありますよ』



そう彼女が言った瞬間、己の片眉が上がるのが分かった。…"過去に何度か"?
それは昔の男の事か。それとも父親…いや、それならば父親とハッキリ言う筈。やはり昔の男か。

そう思うと何とも言えぬ感情が渦巻く。



「これは俺の単なる好奇心なんだが…その男ってのは誰の事なんだ」
『……二度と会いたくない人、ですかね』
「……」



暫く沈黙が流れる。
二度と会いたくねェってことは、今はもう何も無いって事か。その事実に安堵する自分が居た。

聞きたいことは沢山あるが、これから少しずつ知っていけば良いと何故だかそう思えた。
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