第2章 この世界
数十分歩いてようやく目的地についたみたいだ。
おそらく入学式会場と言われる場所ではすっかり事が終わったみたいな空気をしていた。
入学式会場ではそれぞれ7つに人が固まっており、そのリーダと呼ばれる人たちがそれぞれを仕切っていた。
そのリーダーらしき人達は入学式途中に抜け出したらしい学園長の事を口々に話していた。
「職務放棄…」
「腹でも痛めたんじゃない?」
「違いますよ!」
ドンッと効果音がつきそうな程に学園長は堂々と前に出た。
「あ、来た。」
「まったくもう。新入生が1人足りないので探しに行っていたんです。」
そう学園長が言うとみんなは私を見て納得したらしく、その話については話さなくなった。
「さあ、寮分けがまだなのは君だけですよ。狸くんは私が預かっておきますから、早く闇の鏡の前へ。」
「ふぐぐー!!!」
しゃべる狸は不服そうに暴れた
私は学園長の言う通りに大人しく闇の鏡の前へ立った。
「汝の名を告げよ」
鏡がしゃべったー!?
とは流石に今更驚かず、もうこの世界ではそれが普通だと言うことに考えるようになっていた。
「…○○です」
「○○…汝の魂の形は………」
私はどうなるのかと緊張して唾をゴクリと飲み込んだ
「…分からぬ」
そう聞いてなんとなく自分で納得してしまった。
魔法なんて使ったこともないしそもそもつかえなかったから。
期待していた自分が馬鹿馬鹿しい。
「なんですって?」
私より学園長が驚いていたかもしれない。
「この者からは今までの誰にも持っていないような強大な魔力が感じられる…が、しかし色や形が一切の無である。よってどの寮にも相応しくない!」
「魔法が使えない…なのに強大な魔力を持っている…?
一体それはどういう…いや、しかし魔法が使えない人間を黒き馬車が迎えに行く筈がない!
ここ100年間でもこのような手違いは1度もなかった!
…一体なぜ……」
「もごもご…ぷはっ!だったらその席、オレ様に譲るンだゾ!」
「あっ待ちなさい!この狸!」
どうやらあのしゃべる狸が学園長の手から逃げたらしい。
「そこのニンゲンと違ってオレ様は魔法が使えるんだゾ!
だから代わりにオレ様を学校に入れろ!
魔法ならとびっきりのを今見せてやるんだゾ!」