第6章 3日目
「副寮長って凄いですね」
「褒めるほど凄くはないぞ、寮長のただの補佐役だもんな」
ただのって事では無いだろうとは思うが…
「おい、オレ様を忘れんじゃねぇゾ」
「お、なんだぬいぐるみじゃなかったのか」
「オレ様は普通に動いていたゾ!」
「まあいいや、お前もよろしくな」
「あっさり水に流そうとするんじゃねぇゾ!」
グリムは足元でぷんすか怒っている。
怒りのせいで騒がなければ良いけど…
「これから俺は寮にもどるんだが丁度良いから今から遊びに来るか?」
「え、良いんですか?ありがとうございます」
トレイ先輩に誘われて断る必要が無い。
それにエースくんデュースくんとまだ縁を切りたくないし、顔を合わせて数日しか経っていない。
あの時のエースくんとデュースくんをまだ許したつもりでも無いが、よくよく考えてみればただの魔力摂取かもしれなくも考えられる。
リーチ兄弟よりは全然マシだった。
ひとつの寮へとお邪魔する訳だからエースくん、デュースくん以外の人達の事も知れる良い機会になるかもしれない。
「今日はなんでもない日のパーティなんだ。○○も一緒に参加して楽しんでもらえると嬉しい。」
「なんでもない日のパーティですか…」
「パーティかぁ〜色んなご馳走があるんだな!!」
なんでもない日のパーティってかなり斬新な名前だな。
その名の通り本当になんでもない日と、捉えて良いのだろうか。
グリムは目を輝かせている様であった。
「寮まで案内するから俺に着いてこい」
そう言われて私たちは大人しくトレイ先輩の後を着いて行った。