第5章 2日目
「小エビちゃん、俺たちと行こうよ〜」
「グリムがこんな状態なので遠慮しておきます」
「あ?来いって言ってんだろ」
フロイド先輩の雰囲気が一瞬にして変わった。
背後からは凄まじい殺気が感じられる。
「ぐ、グリム起きてよ」
私は助けを求めるためにもグリムを起こそうとグリムの身体を大きく揺さぶった。
「んな゛〜?!やめるんだゾ〜!」
グリムの身体を大きく揺さぶってるとグリムが苦しそうにした。
「起きた!今ピンチなのグリム助けてよ」
私は小声でグリムにそう伝えた。
「ピンチ?…リーチ兄弟!!」
「そうなんだよ、だから助けて」
「助けてって…そこまで嫌がらなくても…」
わざとグリムにしか聞こえないような音量で話していたのに聞かれていた。
改めてリーチ兄弟は危ない人物だと思い知らされた。
「お、オレ様は何も見てないんだゾ!」
「ちょっとグリム!また逃げるの?!」
グリムは身体をよじって私の腕から逃げてどこかへ走り去ってしまった。
「どうやらグリムさんに見放されてしまったようですね」
「だいじょーぶ、そんな小エビちゃんには俺たちがついてるからね」
何ひとつ大丈夫でもない。
このパターンは昨日と一緒だ。
昨日と同じ事にならないようにする方法を考えなくては…
いや、考える暇もない。
ただ私は逃げよう!
そう考えた私はすぐさまリーチ兄弟とは逆方向に駆け出した。
捕まらなければ何かをされる事は無い。
それに逃げてしまえば追っては来ないだろう。
「あはっ、そんなに俺と鬼ごっこがしたいの?いいよ〜してあげる」
追っては来ない…と考えた私が馬鹿だった。
フロイド先輩が追ってきたではないか。