第2章 この世界
この夢は一向に醒めそうにもないし、それに五感もしっかりとしているし、しっかりと頭も回る。
本当にここは夢の中なのか?
いや、もしかしたら別世界なのでは…?
…いやいや流石に別世界はないだろう。
だって私は昨夜、普通に自室のベットで寝たはずだ。
急にへんなところに飛ばされることはフィクションでしか有り得ない。
「一体ここはどこなんだろう…」
「オレ様の鼻から逃げられるとでも思ったか!ニンゲンめ!」
「追いつかれた…」
ついに追いつかれてしまったみたいだ。
背後は本棚で運悪く逃げ道はない。
丸焦げになって死んでいく自分の姿が脳裏に浮かぶ。
「さ、流石にここで死にたくない…」
いくら夢であっても丸焦げは痛いはずなのだ。
いや、丸焦げじゃなくても絶対に痛いと思う。
「さあ、丸焼きにされたくなかったらその服をー」
ペシンッ
「ふぎゃっ!?痛ぇゾ!なんだぁこの紐!」
しゃべる狸を叩く音が聞こえた。
「紐ではありません。愛の鞭です!」
しゃべる狸の背後から変な仮面をつけた変な人が出てきた。
この人はかなりやばい人だ。
本能がそう言っている気がする。
そう思っているとその人物は私の方を見て目を細めた
「ああ、やっと見つけました。君、今年の新入生ですよね?」
…は?新入生?
全然話が読めない…
「ダメじゃありませんか。勝手にゲートから出るなんて!…それにまだ手懐けられていない使い魔の同伴は校則違反ですよ。」
ゲート?使い魔?
この人は何を言っているのか分からなくて私は話に置いてかれている状態である。
どうしても開いた口が塞がらない。
「離せ〜!オレ様はこんなヤツの使い魔じゃねぇんだゾ!」
気がついてみるとしゃべる狸は仮面をつけた変な人に捕まっていた。