第3章 私の魔力
_「おい!……マ…!」
誰かが呼んでいる?
_「おい!オマ…!」
「おい!起きろ!オマエ!」
「わっ!」
目の前にはしゃべる狸がいた。
「オバケを退治出来たんだゾ!まあ、オレ様のお陰でな!」
「よかった…」
ふと腕を見ると布のようなものが不器用にまかれていた。
「えっと…ありがとう、狸くん」
「だからオレ様は狸じゃねぇ!グリム様だ!」
私は上半身を起こした。
まさか狸…いや、グリムが私の手当までしてくれるだなんて…
「私はオマエじゃなくて○○だよ」
「そ、そうか…あ、そういえばオマエの血は一体どうなってるんだゾ、飲んだときぶわーっと凄かったんだゾ!」
「あぁ、それは色々あって…」
「嗚呼、○○さんこんな所に居たんですか!探したんですよ。ご飯お持ちしましたよ。…て、あの時の狸!」
背後から声が聞こえた。
振り返ってみるとその声の主は学園長だった。
「だから狸じゃないんだゾ!グリム様だ!」
私は立って学園長の前まで行った。
「学園長、この寮におばけがいたんです。
そのオバケをこのグリムが追い払ってくれて、それに私の腕も治療をしてくれました!
なので、このグリムをこの学園に入学させて貰ってもいいですか」
「オマエ…」
「確かにこのオンボロ寮は何かが出ると噂されていましたし…
…って、腕に怪我したんですか?!」
「怪我…というより自分で切ってしまいました。」
「○○さんちゃんとその怪我を見せてください!
バイ菌なんかが入ったら大変です!さあ、明るい所に行きましょう!…そこの狸くんも」
私は言われるがままに学園長について行き、
グリムは何かを期待しながら学園長の後へついて行った。