第3章 私の魔力
それからの事、しゃべる狸はオバケを追い出そうと必死になって火を吹いていた。
しかし、オバケたちにはそれは効いていないみたいだった。
見るからにしてそろそろしゃべる狸の体力が限界を迎えているようだった。
私に何か出来ることはあるのだろうか…
…そうか、私の魔力があるじゃないか!
そう考えた私はすぐさまにまだ残っていたガラスの破片を腕に突き立てて、歯をぎゅっと食いしばって腕を切った。
結構奥深く切ってしまったらしく、直ぐに血が滲み出してきた。
そしてとても痛い…
「しゃべる狸!私の血を飲んで!」
「は?!嫌なんだゾ!」
「いいから!」
「ふな゛?!」
私は無理矢理しゃべる狸の口元に私の腕を押しつけた。
しゃべる狸がゴクリと飲んだのを確認してから腕を離した。
「結構美味しかったんだゾ…な、なんだこれは!魔力が溢れてくるようなんだゾ!」
「さっきみたいにオバケを退治してみて!」
「わ、わかったんだゾ!」
早く止血しないと…
朝から何も食べてなかったから結構辛いかも…
血はドクドクと腕から流れ出していて、止まりそうにもない。
そして意識も朦朧とする。
私は床にへたり込んでしまった。
「オマエ?!よ、よし…オレ様が守ってやるんだゾ!」
私はその言葉を聞いてから気を失ってしまった。