第6章 黒い甘露【イケメン戦国】
「さて……取り敢えず俺が知りたい事は一つ。
君の雇い主だ。
今の君は話せないからね。
俺が出していく名前の中に正解があれば頷いてくれ。」
自分が忍びである以上、常に拷問を受ける覚悟はしていた。
でもまさかこんな方法を取られるなんて……。
甲斐の虎、武田信玄の末恐ろしさを叩き付けられ思わず息を飲んだ。
「先ずは………豊臣秀吉。」
「……っ!」
「違うかい?
安土の輩で間違い無いと思うんだがなー。
じゃあ……石田三成はどうだい?」
「っっ……」
名前を一つ出す度に、信玄の指は私の中で激しく動く。
私の悦がる箇所をじっくりと探っている様だ。
「伊達政宗……
徳川家康……
うん、違うだろうな。
此の二人はそういった役割では無い。
では………
明智光秀。」
其の名が出た瞬間、信玄の指はまるで最初から分かっていたかの様に私の急所に触れた。
「ぅぅ……っ…」
びくびくと腰を弾ませ目を見開く私は、其れでも頑として首を縦には振らない。
「違うのかー。
まさか第六天魔王の直参なのかな?
…………織田信長。」
「………ぐぅっっ!!」
其の名が出た瞬間、指先で急所を力強く掻き毟られ……
私は無様に絶頂へ飛んだ。
指が抜かれた其所から噴き出した液体を滴らせて呼吸を荒げる私を見下ろす信玄の言葉が投げ付けられる。
其の声は、ついさっき迄聞かされていた柔らかさは欠片も無く、身体が震え上がる様な鋭さを湛えていた。
「強情な女は嫌いじゃ無いと言ったが……
度が過ぎると後悔する事になるぞ。
残念だが、君に対しては定石通り
恥辱と苦痛に訴えるしか無いみたいだなぁ。」