第5章 愛玩する僕の心を恐ろしく思った【薄桜鬼】
曇天の薄暗い昼下がり。
其の日の屯所内は珍しく静謐で、ちゃんの姿は見当たらない。
今日は自室に居るのかな。
逸る気持ちを抑えながら部屋の前まで行って襖に手を掛けようとした時………
「くっ……!」
中から聞こえた艶声に動きが止まる。
此の声は………左之さんだ。
「はああ……上手いな、。」
其の言葉と同時に漏れて来るのは、《何か》を大胆にしゃぶる様な水音。
「……ん?
ああ……気持ち悦いぞ。
お前にされてると思えば尚更だ。
おいっ…そんな無茶しなくていいから……
くぅっ!!
こら……駄目だ!
射精ちまうだろ……
あ…う………っ……
くそっ……」
左之さんがそんな人じゃ無いって分かってはいるけど、まるで態と僕に聞かせているんじゃないかと思う様な内容に唇を噛む。
そして僕は此所迄をきっちり聞き終えると、気配を消したまま部屋の前から離れて行った。