第5章 愛玩する僕の心を恐ろしく思った【薄桜鬼】
「あんな不衛生な状態で囲われてたんだ。
流行病を持ってるかもしれねえ。
屯所に入れる前に松本先生に診て貰え。」
うん、流石に土方さんは冷静だ。
其の意見には僕も同意する。
『面倒を見る』と宣言した以上、僕は彼女を抱いたまま松本先生の医療所に向かった。
彼女を松本先生に預けて半刻……
僕が一人で待っていた広間に松本先生が入って来る。
「先生、彼女はどうですか?」
「ああ。
君が心配している様な問題は無かったよ。
流行病に罹患している様子も無い。
唯なぁ……」
此の先を言い淀んだ松本先生に
「唯……何?」
顔を寄せて強い口調で問い詰めた。
「沖田君……
彼女は何処から連れて来たんだい?」
僕が彼女を此処へ連れて来るに至った経緯を事細かに語れば、松本先生の表情はどんどん曇っていく。
そして一通り話を聞いた先生は、観念したかの様に大きな溜息を吐いた。
「心して聞いてくれ、沖田君。
彼女の身体は此れ以上無いという程に嬲られ続けていた様だ。
もしかすると彼女自身も気付いていないが
既に稚児を孕んでいる可能性もある。
こんな言い方は為たくないが……
恐らく性奴の様な扱いをされていたのだろう。
彼女を飼って、性欲の赴くままに繰り返し凌辱する……
そう……《家畜》同然の存在だ。」