第5章 愛玩する僕の心を恐ろしく思った【薄桜鬼】
世間の表向きには商人として、でも裏では攘夷志士達に阿蘭陀製の最新兵器を横流ししていた男を捕縛した新選組は当然の流れで其の男の屋敷を捜索した。
隠されていた武具や書簡、諸々を押収し新選組を抱える京都守護職の会津藩へ渡す事が目的だ。
此れで幕府崩壊を目論む攘夷志士達を一掃出来ると僕達は高揚していたんだ。
伏魔殿の様な屋敷を隈無く見て廻り、其の一番奥に在った板戸には何故だか大きな南京錠が掛けられていた。
此の部屋には何が有るのだろうと僕の心は逸る。
僕達の敵である攘夷志士を一網打尽に出来る物が隠されているのかも…と。
南京錠の鍵は見付からなかったけど、この程度の板戸なら数人で圧し込めば破壊出来る……
そう考えた僕の元に土方さんと左之さん、そして平助が集まった。
四人で体当たりを数度繰り返すと、板戸はあっさりと蝶番が外れて内側へと開く。
こうして晒された薄暗い部屋へ意気揚々と雪崩れ込んだ僕達が目にしたのが……
彼女だったんだ。