第5章 愛玩する僕の心を恐ろしく思った【薄桜鬼】
其の彼女が身に着けているのは薄汚れた襦袢一枚。
長い間洗濯もしていないであろう事は、綻び具合と漂う臭気からも一目瞭然だ。
だけど問題は、其れを彼女自身が全く気にしていないという事実。
そうであるのに彼女の髪と身体は其れなりに浄められているみたいだ。
愛らしい容貌、白い肌、艶やかで豊かな黒髪………
だけど、まるで獣の様に身体を丸め呼吸を荒げて鋭い視線で僕達を睨み上げる彼女の首には………
確りと頑強な荒縄が巻き付き、其の先は部屋の床柱に括られている。
『ああ……此の娘は《家畜》なんだ……』
其れが僕の第一印象だった。