第4章 Destined future【イケメン戦国】
「まさか家康が俺より先に娶る事に成るとはな。
貴様の幼少期を知る身としては非常に感慨深い。
であるなら徳川家康の祝言は
此の織田信長が取り仕切ってやろう。
愉しみにしておけ。」
…………信長様の方が余程愉しそうなんだけど。
『俺が取り仕切る』なんて言っても、一番働く事になるのはきっと秀吉さんだろうな。
そんな事を思いながら俺と姫は御殿に戻った。
「ふふ……
先ずは何からお話しましょうか?」
向かい合って腰を下ろすと直ぐに姫は満面の笑顔で話し始める。
「此方こそ何から聞けば良いのか分からないんだけど……」
此れが俺の本音。
「じゃあ、私の話を聞いて下さい。」
こうして姫がゆっくりと語り出した其の内容は、更に驚く可き物だった。
「父が私を安土へ寄越したのは、
信長様に御手を付けて頂く為でした。
其れは家康殿も御存知だったでしょう?
けれど私の想いは違いました。
私は徳川家康殿に会う為だけに安土へ参ったのです。」
「何で……?」
震える声で問う俺に、姫は可憐な笑みを浮かべて続ける。
「私の目的は家康殿の御子を孕む事。
そうする事で、父に納得して貰う事。
勿論此の策は安土に入って直ぐ、信長様にお伝えしました。
馬鹿げた話だと追い帰されるかと覚悟もしましたが
信長様は快く受け容れて下さったんです。
家康に《家族》が出来るならば……と。
信長様は心から家康殿を案じて
家康殿の幸福を望んでいらっしゃるのですね。」
姫だけじゃなく信長様の想い迄聞かされて、俺の胸は一層締め付けられた。