第4章 Destined future【イケメン戦国】
信長様の来訪を告げられた俺と姫は慌てて身支度を整え、信長様が待つ部屋に入り跪く。
「邪魔するぞ、家康。」
其の声色には俺を咎める様子は感じられなくて……
じゃあ何故突然俺の御殿に?
俺の動揺には気付いているのかいないのか、信長様は単刀直入に話を切り出した。
「さて、姫。
其方が安土に留まって凡そ半月が過ぎた。」
………俺じゃ無くて姫に会いに来たの?
「はい。
随分と長い間お世話になっております。」
不思議なのは姫も特に慌てる様子も無く、信長様と穏やかに対峙している事だ。
「ふん……
俺としては未だ安土に滞在して貰っても構わぬのだが
然し、そろそろ其方の父御が騒ぎ出す頃合いだと思ってな。」
「はい……そうですね。
信長様にも御恩情頂き申し訳ありません。」
「いや、其方が気にする事ではない。
俺自身が理解して受け容れておるのだ。」
まるで俺の存在など無視した様に語り合う二人を見て不審感が湧き上がる。
其の感情を更に押し上げたのは信長様の一言だった。
「其れで、姫……
首尾はどうだ?」
…………首尾?
信長様と姫は《何か》を謀っている?
問い質す事も出来ず、只々鼓動を高鳴らせて居る俺の顔をちらりと一瞥した姫は
「はい。
上々で御座います。」
と、弾ける様な笑顔で信長様に答える。
そんな姫の姿を見て満足そうに口角を上げた信長様は、突然立ち上がり言い放った。
「善かろう!
では姫を国に戻す。
良いな、家康!」
何が何だか理解が追い付かない内に、姫は国に帰って行った。