第3章 傀儡-KAIRAI-【イケメン戦国】
引き摺る様にしてを天主へ連れ込み、用意されていた褥へと二人一緒に腰を下ろす。
在り在りと動揺の色を浮かべるの表情を見て俺は満悦した。
此れ迄は木偶人形の如く従順だったが、今は己の感情に揺さ振られている。
例え其れが俺に対する反旗だとしても、俺に向かって本心を晒け出している様が喜ばしいのだ。
「どうした、?
何やら言いた気であるな?」
「あの……信長様。
私は主を謀りました。
此の儘、何も処罰が無いという訳には……」
「謀った結果が主を救う善き結果だとすれば
処罰など必要無いであろうが。」
「其れでも……」
未だ何かを言い掛けるをどさりと褥に押し倒し、其の愛らしい顔を撫で回しながら俺は喉を鳴らす。
「処罰が無い訳ではないぞ。
今宵は仕置きだ…と言ったであろう?」
途端に俺を見上げるの頬が紅く染まった。
「貴様は俺を護った。
さすれば……
貴様は俺を好いておるな?
此の先も織田信長の奥として
俺の傍で生きるのだな?」
「………………。」
無言のに焦燥感が湧き上がる。
俺はもう既にを手放せなくなっているのだが……。
「………
貴様に其の気が無いのであれば
今直ぐにでも俺から解放しよう。
安土を出て、貴様の好きな場所で好きな様に生きれば良い。
貴様が其れを望むのなら、其の為の援助は惜しまん。」
そう告げた俺の声は、己でも驚く程に震えていた。
第六天魔王と揶揄される男が、たった一人の女を失う事に怯えているのだ。
だがは俺の下でにっこりと微笑み……
「信長様を護ったのは……
貴方を愛しているからです。
私はこれからもずっと安土で……
いいえ、織田信長の隣で共に在りたいのです。」
何よりも俺が欲していた言葉を紡いでくれた。
歓喜によって早打つ鼓動を誤魔化しながら、俺は不敵に口角を上げる。
「相分かった。
ではもう金輪際、俺の傍から離れる事は許さんぞ。
貴様は最期まで俺と共に在れ。」
「はい。
………必ず。」