第1章 溺れる復讐【イケメン戦国】
どれ程の時間が経っただろうか……
私は漸くモゾモゾと動き出し、掛けられた浴衣に袖を通してから褥に潜り込む。
今夜もまた下腹部の鈍痛に苛まれ眠れない時間の間に、自分がこうなった始まりを思い出していた。
あの日、いつもの様に安土城下で反物を仕入れていた私は突然見知らぬ男達に拐われた。
鳩尾に衝撃を感じて意識を失った後、気付いた時には既にこの座敷牢の中だったんだ。
この場所がどこかすら分からない。
誰に拐われたのかも分からない。
不安で不安で、座敷牢の片隅に屈み込み身体を震わせる私の前に現れたのは……
顕如さんだった。
「お前が……信長の寵姫か。」
凍える様なその低い声色に背筋を悪寒が走る。
顕如さんと信長様の因縁を知らない訳じゃない。
本能寺で信長様を襲ったのは顕如さんだと私も聞かされていたから。
だから、私は拐われたの?
安土城で、信長様の側で暮らしているから?
でも私は信長様の寵姫なんかじゃないんだ。
信長様は私の事を「幸運を呼ぶ女だ」とお側に置いてくれるけれど、所謂恋仲ではない。
だって、それが証拠に私はまだ………
「違いますっ!
私と信長様はそんな関係じゃなくて……」
何度も何度も、自分でも飽き飽きするくらい伝えた。
だけど顕如さんは
「俺にとってお前が必要である理由は
あの第六天魔王が気に入っている女だという事実だけで充分だ。」
と、私の話など全く聞く耳を持たなかった。
こうして拐われたその日の夜から、私は顕如さんに犯され続けている。
でも顕如さんが行うのは、私が想像する『犯される』という行為とは懸け離れていた。
私を全裸にはするものの、身体には最少限しか触れずに唯……
挿入するだけ。
挿入して……
中に射精するだけ。