第3章 傀儡-KAIRAI-【イケメン戦国】
第六天魔王と揶揄される俺すらも圧倒するの物言いに口角がじわりと上がる。
義兄者の高揚していた顔色が徐々に失われていくのを目にすれば尚更だ。
そして義兄者は恐る恐ると言った様子でへと声を絞り出した。
「……
お前……まさか……」
「貴方の後ろに侍って居る一万の兵は
本当に貴方の為に命を賭けるとお思いですか?」
「……何…を…」
「例え貴方が此の時世から織田を排除させたとしても、
その先に待つのは破滅のみ。
日ノ本を治める程の力を持つ我が殿、
織田信長様と同等の心算でいるとは片腹痛い。
当然、そう思うのは私だけでは無いでしょう?
ならば《たった一万》の兵を織田に寝返らせるなど……
安土が誇る知将、明智光秀殿に掛かれば
赤子の手を捻る様な物だと思いませんか?」
ほう……そういった策略であったか。
道理で秀吉も落ち着いておった訳であるな。
俺に牙を剥いた狼宛らに勇んでいた男は、すっかり尻尾を丸めた野良犬の其れ。
既に顔面蒼白でかちかちと歯を鳴らし、言葉も出ない様子だ。
余りに愉快で喉を鳴らして仕舞いそうに為りつつも、俺は無言で未だ《戦う》の姿を見守る。