第9章 豊臣の若紫【イケメン戦国】
安土を離れるのが不安なのか?
確かに顔も知らない男の元へ嫁ぐのは不安だよな。
「大丈夫だぞ、。
お前は何も心配しなくても俺が全部御膳立てしてやるから。
花嫁衣装も道具も俺が飛びっ切り上等な物を用意してやるからな。
向こうが驚く程に立派な花嫁御寮として送り出してやる。」
「…………うん。」
其れでも未だの態度は変わらず……
いや、更に落ち込んでいる様に見えた。
「……心配事があるならちゃんと言えよ。
俺はお前の兄貴として、立派に嫁がせてやりたいんだ。
お前が此の先もずっと笑って居られる様に……」
「分かってる。
全部秀吉さんにお任せするよ。
全部、秀吉さんの言う通りにするから。」
俺の言い分を遮る様に放たれたの言葉に、何故だか胸が軋む。
今の俺とは歯車が擦れて仕舞って不快な音を発てる絡繰りの様だ。
そう為れば何を言えば良いのか分からず、押し黙る俺に向かってはぴしゃりと言い放った。
「ごめん。
少し頭が痛いから、もう休みたい。」
「あ、ああ……そうか。
分かった。
酷い様なら家康に薬を貰ってやるからまた言え。
……暖かくして寝ろよ。」
明白に避けられているのを感じながら、俺はいつも通りにの頭を撫でて部屋を出た。
「此の先もずっと……
笑える訳ないじゃない。
秀吉さんの………馬鹿。」