第9章 豊臣の若紫【イケメン戦国】
ああ……あの男か。
其の和議と宴には当然俺も同席していたから、全く知らない男ではないのだと若干の安堵が胸を過ぎる。
「見目も美丈夫。
俺の見立てでは……
後の君主としての資質も申し分無く
其れで居て心根も優しい男であった。
を娶れば、生涯大事にしてくれるであろうな。」
俺自身も信長様の仰る通りだと納得した。
やはり信長様は政優先では無く、の将来を考えてくれているのだと分かれば……
其れはもう感謝でしかない。
「は私の身内其の物。
信長様の御心遣い、恐悦至極に存じます。
さすれば此の豊臣秀吉……
を日ノ本一の花嫁として送り出す所存。」
そう告げて深々と頭を下げる俺に向かい信長様が何かを呟いたが、其の言葉は聞き取れず
「………何か?」
俺は問い掛けてみたが
「もう良い。
下がれ。
また先方からの連絡が有れば伝える。」
まるで追い出される様にして天主を後にした。
「全く………
何故、認めぬ。
いや……何故、気付かぬのだ?
務めは完璧に熟す癖に………
家康以上に面倒臭い奴だな。
豊臣秀吉という男は。」