第9章 豊臣の若紫【イケメン戦国】
「俺の一番近くに居るって言えば……三成か?
確かに彼奴は顔立ちも整ってるし、
普段は心配に為る程ぼんやりしているが
いざという時の頭の冴え具合は抜群だし……
うん、悪くない。」
「……違う。」
「何、三成じゃないのか?
じゃあ政宗か?
彼奴も男前で気の好い奴だが、如何せん好戦的だからなぁ。
を任せるには心配だ。
其れとも家康か?
まあ彼奴は思慮深いし、武将としても非の打ち所は無いな。
けど、性格が捻くれちまってて面倒臭い男だぞ。
あっ……まさか光秀じゃないだろうな?
彼奴は駄目だ。
光秀だけは絶対に駄目だからな。」
一気に捲し立てる俺を黙って見つめ続けていたは突然ふっと微笑んで……
「うん……
折角信長様が設えてくれた縁談だもんね。
振り向いてくれない人を追い続けるよりも
信長様に甘えさせて貰った方が幸福かも。
私、真剣に考えてみるよ。
………いつも心配掛けてごめんね。」
静かに部屋を出て行った。
は笑っていた筈だ。
笑っていたのに其の顔は、まるで泣いている様に見えたのは何故なんだろうな。