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keep as a pet【R-18 SS集】

第9章 豊臣の若紫【イケメン戦国】


俺の自室に入り、先ずは二人分の茶を淹れてから静かな調子で話し出す。

自分に縁談が持ち上がっていると聞いたはやはり驚いた様だった。

「無理強いする訳じゃないが、折角の信長様からの話なんだ。
 前向きに考えてみちゃどうだ?」

そう言ってやってもは俯いたまま何も答えない。

そりゃ直ぐに返事を出来る話じゃないよな。

急かす訳にもいかず、無言で茶を啜る俺を上目遣いで見遣ったが漸く紡ぎ出した声は……

「私が其の縁談を受け容れたら……
 信長様の御役に立てるの?」


…………は?


瞬間、意図が分からずの言葉を頭の中で反芻した俺は、気付いた其の意味に慌てて身を乗り出した。

「違うっ……違うぞ、!
 信長様はお前を政の道具にする様な御方じゃない!
 純粋に年頃になったの幸福を願って設えた縁談なんだ。
 だからお前は何も心配しなくたって……」

「でも……私…
 ずっと前から好きな人が居るの。」


………………は?


唐突に聞かされた言葉に俺は固まる。

には惚れた男が居るのか?

今の言い種だと其の男と恋仲である訳じゃない様だが……の片恋って事か?

そんな素振り、今まで見せた事ないだろう。

いや、俺が気付かなかっただけなのか?

………偉そうに兄貴面して面倒見てきた心算でいたが、可愛いの片恋にも気付いて遣れないなんて俺は兄貴失格だな。

「其のお前が惚れてるって男は誰だ?
 ずっと前からって事は、俺の周りに居る輩なんだろ?」

頬を桜色に染めてまた俯いて仕舞ったを見て、俺は此の恋慕を何とか成就させて遣りたいと急激に熱くなった。
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