第9章 豊臣の若紫【イケメン戦国】
「お帰りなさい、秀吉さん!」
御殿に帰るなり出会したは、いつも通りの弾けるような笑顔で俺を迎えてくれた。
「ああ……ただいま。」
其の眩し過ぎる笑顔が、更に俺の胸へと影を落とす。
「直ぐに夕餉にする?
湯浴みの用意も出来てるけど。」
「ああ……」
相変わらず俺の為にくるくると働いてくれているんだなぁ……お前は。
そう思えば真面な返事も出来ず、じっとを見つめて仕舞う。
そんな俺へは如何にも心配だと言わん許りの表情と声色を向けた。
「どうしたの、秀吉さん?
何所か具合悪い?
其れともお仕事で何かあった?」
愛らしい其の様子に、俺は己の感情だけで揺らいでいる事を恥じる。
やはり、一番に考えなければ為らないのはの幸福だ。
可愛い《妹》を手放したくない《兄》としての感情だけで、を此処に縛り付けておく訳にはいかないよな。
未だおろおろとしているの頭をぽんと撫でてから俺は意を決して言った。
「……
お前に話したい事があるんだ。
一寸時間を貰えるか?」