第8章 Spicy masochist【イケメン戦国】
亥の刻、安土城の大広間にて。
信長様と連れ立って現れた全員が、足を踏み入れた瞬間に息を飲み固まる。
そう、信長様も…だ。
然し、流石に或る程度の状況を把握していたであろう信長様だけが直ぐに不敵な笑みを浮かべ声を漏らした。
「ほう……」
皆の驚きも当然であろうな。
何故ならきっちりと膝を正して座る俺の前に、生まれた儘の身体を絹紐で雁字搦めに括られたが横たわって居るのだから。
其のには神経を過敏にさせる為、手拭いで目隠しを施してある。
猿轡も嚼ませておいた方が良いかとも考えたが、愛らしい口を塞いで仕舞っては愉しみが半減する事を鑑みて止めておいた。
其の結果、が泣き喚いて仕舞う可能性も有ったが、俺の予想を遙かに超えては此の奇異な状況に興奮してくれている様だ。
勝手に漏れ出す淫らな吐息を耐える様に唇を噛み締めている。
そんなから目を離せないで居る全員に、俺は小さく頭を垂れて声を掛けた。
「今宵は態々お集まり頂き恐縮の頻り。」
絶句した儘の家康と三成。
政宗は脂下がりながらも、碧眼をぎらつかせている。
そして当然、秀吉は怒りを孕んだ声を上げた。
「おい、光秀!
此れは一体どういう事なんだ!?」
ああ……お前の気持ちは痛い程に分かるぞ、秀吉。
妹の様に可愛がっていたが淫靡な匂いを撒き散らし、下劣極まりない媚態を男達の前に晒している事が受け容れられないのだろう?
だが、お前の視線はの裸体を舐める様に這っているではないか。
………やはりお前も男なのだな。
只のつまらぬ聖人君子では無かった事に、俺は心から安堵しているぞ。