第8章 Spicy masochist【イケメン戦国】
其れからも俺は毎晩、を躾けた。
いや……俺の方がに躾けられていたのかもしれぬな。
の望む儘に性技を繰り出す傀儡として。
そんな或る日。
軍議の終いに偶々信長様と二人に為る機会が訪れる。
「光秀。」
ふと呼ばれた其の声と、振り返った俺が見遣った其の目には何やら含みを孕んでいて……
「貴様にくれてやっただが……
最近はどうだ?」
「どう……とは?」
信長様の本意が掴めず、僅かな警戒心を持って問い返す。
「近頃、城内ではが急に艶っぽくなったとの噂が絶えん。
其れに伴い秀吉も家康も落ち着かなくてな。
まあ政宗は通常通りで、
三成に至っては気付いてもおらぬ様だが。」
此所で信長様はくくっ…と一つ喉を鳴らしてから続けた。
「全く……秀吉も家康も面倒臭い奴よ。
女一人に心中揺さ振られるとは情けない。
然し、此の儘では彼奴らの政務に支障が出る可能性も有り得る。
さてどうしたものかと俺は頭を悩ませておるのだが……」
そう言いながらも欠片もそうは思っていないだろう表情で俺を見据える信長様。
其の獲物を射竦める様な強い視線と、此れ以上は語らすなと言わん許りに上がった口角に、俺は己の成す可き事を悟る。