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keep as a pet【R-18 SS集】

第7章 下拵え【薄桜鬼】


「……聞いてくれ。」

また今宵も非道く嬲られると思ったのか……

其れとも離縁を宣告されるとでも思っているのか……

緊張に固まるの全身を解そうと、俺は一際穏やかな声で語った。


「己で指顧しておきながら何を今更と咎められても当然なのだが……
 俺は昨晩、悋気に煽られ一晩中眠れなかった。」

「……悋気…ですか?」

「そうだ。
 不知火に啼かされ、不知火に貫かれ……
 不知火の精を注がれたお前が余りにも美しくて可憐らしくて……
 俺はこの胸を焦がす程、不知火に嫉妬したのだ。
 風間家の嫁に相応しく等と大仰な飾り文句を振り翳し
 散々にお前を辱め苦しめた癖に
 に触れるのは俺だけで在りたいと、
 を啼かすのは俺の身体だけで在りたいと……
 そう強く望んで仕舞った。
 ………愚かだと笑うか?」

「いいえっ!
 いいえ……そんな事……」

俺を気遣う様に力強く即答するに胸が締め付けられる。

であれば、もう此の想いを全て告げて仕舞おう。


「………
 俺はお前を愛している。
 いや、以前から愛らしい女だと思ってはいたが
 今は其れ以上にお前が愛おしくて堪らないのだ。」

「千景様……」

「風間家の嫁に相応しいとか相応しくないだとか……
 そんな事はもうどうでも良い。
 お前は唯々、俺が愛するたった一人の妻で在れば良い。
 生涯俺の傍らで生きてくれれば……」

訥々と語る本音が言い終わらぬ内にはそっと前傾し、俺の胸に顔を埋め小さく呟いた。
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