第7章 下拵え【薄桜鬼】
「………風間は良いのかよ?」
「無論。
俺が乞うているのだからな。」
「じゃあ……
遠慮はしねえぞ。」
そう言った不知火は更にへと近付き
「さーて……
先ずは風間の嫁の顔をじっくりと拝ませて貰うとするか。」
愛らしい顔を覆っていた目隠しと猿轡を取り払った。
「へぇー…こりゃ随分と別嬪だ。」
舌嘗めずりを為つつ喉を鳴らす不知火を見上げるの瞳は不安気に揺れていたが、拒む様子は見受けられない。
叫び声を上げて仕舞わぬ為なのか……
固く結んだ唇を小さく震わせているのがまた何とも可憐らしく思った。
「お姫さんもエライ所に嫁いで来ちまったなァ。
見知らぬ男の前に素っ裸で吊り上げられてよ……
然も旦那の目前で其の男に嬲られるってんだから。
拒むなら今の内だぜ。
こんなド変態な旦那、願い下げだって言ってやれよ。」
ふん……
やはり不知火は優しい男だな。
態と酷い言葉で、の本心を引き出す心算の様だ。
此所でが拒めば、不知火は一切に触れはしないのだろう。
だが、不知火………
お前はを甘く見ているぞ。
「いえ……
どうか、私を……
躾けて下さいませ。」
「………はァ!?」
再び驚愕する不知火に笑いが止まらんな。
其れからは不知火だけでなく、俺をも煽る愛らしい言葉を紡ぎ出した。
「私は風間家に……
千景様に相応しい女に為りたいのです。
だから千景様に悦んで頂ける手練手管を
私の全部に仕込んで下さい。
………不知火様。」