第6章 黒い甘露【イケメン戦国】
「やあ、………
今夜も俺を殺しに来たのかい?」
褥の中で片肘を着いて横たわり妖艶に微笑む信玄は、徐に上体を起こし私へと手を差し伸べた。
「………おいで。」
自分の想いを全て吐き出したあの夜以来、私は此の春日山城に部屋を与えられ何一つ不自由の無い暮らしをしている。
信玄が言った通り言動を制限される事も無ければ、信玄以外の人間に私の存在を咎められる事も一度として無かった。
そして私は何度も何度も信玄の部屋を訪れ………
毎晩の様に信玄に抱かれている。
どうしてこう為ったのか、自分でも理解はしていない。
唯、信玄の言動から推し量るに、此の行為に依って信玄は私に精を削り取られているという事らしい。
確かに信玄は私に無理や無茶を強いる事も無く、只管に私を悦楽へと導いた。
そう為れば当然、私も其の行為に唯々溺れていく。