第6章 黒い甘露【イケメン戦国】
……………え?
余りにも突飛過ぎる言葉に固まって仕舞う。
そんな私の身体を、再び優しく労わる様に撫でながら信玄は語った。
「は此処で……
俺の傍で、常に俺の命を狙いながら過ごせば良い。
今は俺もそう簡単に涅槃へ向かう訳にはいかないから
防御はさせて貰うが、抵抗と迎撃は絶対に為ないと誓おう。
無論、謙信や幸村や……
其の他の家臣達には、の行動を制限する事はさせない。
くくっ……
謙信に至っては、俺の命を狙う基骨に惚れて
の味方に付いて仕舞うかもしれないなー。」
そう言って如何にも愉快だと言わんばかりに失笑した信玄は、涙に濡れた私の頬を両手でそっと包み込み
「の望みを直ぐに叶えてやれなくて申し訳無い。
だが必ず………
いつか必ず、俺はに殺されてやろう。」
柔らかく穏やかに紡がれた其の言葉に、再び私の両眼からはぼろぼろと涙が零れ出す。
そして子供の様に大声を上げて泣きじゃくる私の身体は信玄に抱き寄せられて……
私は泣き疲れて眠って仕舞う迄、其の広い胸と逞しい腕に包まれ続けていた。