第6章 黒い甘露【イケメン戦国】
謙信の物が咥内から抜かれた瞬間、私は前傾して激しく噎せ返り、ぼたぼたと白濁した唾液を吐き出した。
こんな無様な姿を他人に凝視されていると思えば、情けなくて悔しくて……
息苦しさとは違う涙が溢れる。
此れが信玄の言う《恥辱》だとすれば、此の男は何処迄冷徹なのかと身体が震えた。
「さて……と。」
着衣を整える謙信を尻目に信玄が立ち上がり近付いて来る。
「んー……
やはり謙信だけってのは狡いよなー。
俺も可愛いに極楽へ連れて行って貰うとしよう。」
…………未だ、続くの?
「謙信……
済まないが、と二人だけにしてくれるか?
俺はどうも他人に見られると萎えちまう性質でね。」
巫山戯た口調ではあったけど、ぴりぴりとした緊張感は誤魔化せない。
そして当然、謙信も其の言葉の奥に込められた意味を察した様だ。
暫くの間、無言で信玄と視線を絡ませて
「…………程々にしておけ。」
獰猛な獣を嗜める様に呟くと、静かに部屋を出て行った。