第6章 黒い甘露【イケメン戦国】
其の後、謙信に顔を寄せた信玄が短く耳打ちすると
「なっ……
何故俺が其の様な事をせねばならんのだ!」
謙信は明白に動揺し、声を荒げた。
「此の行為は俺よりも謙信の方が適任だからな。
其れに……
俺がお前の《変化》に気付いて無いと思うのか?」
揶揄う様子を隠しもしない信玄に、謙信は僅かに頬を赤らめ視線を逸らす。
「頼むよ、謙信。
お前の《其れ》を目にすれば
も心を入れ替え語ってくれるかもしれない。」
一体何を言っているのか………
想像も出来ない儘私が二人を睨み付けていると、一つ溜息を吐いた謙信が徐に立ち上がった。
そしてゆらりと私の目前に立つと
「信玄に請われたからだ。
決して俺の趣味では無い。
誤解するな。」
私に向かって言い訳じみた言葉を投げ掛けてから、着ている物の裾を割り下帯を摺らして《其れ》を取り出す。
現れた其の異形さに、私は目を見開き息を飲んだ。
信玄の物とは比べ物にならない寸法。
長さも太さも………
然も其れが今、見事な迄に屹立している。
驚きに依って其れから目を逸らせない私を見た信玄は酷く愉快そうに喉を鳴らして言った。
「見事だろ?
俺も自分の物にはそこそこ自信があるんだが
其れだけは謙信に敵わなくてなー。」
「其れだけとは……
相も変わらず失礼な男だな、信玄。」
聞き捨てなら無いといった様相で吐き捨てた謙信の両手が私の肩を上から押さえ付ければ、私の身体はずるずると床柱を這って崩れ落ち、膝立ちの格好に為る。