第33章 敵情視察
貴方side
仁科「……何か…凄え怪しい感じに見えそうなんすけど、俺ら」
貴「…我慢しろ、これもエースを見る為だ」
大吾「ここがいいかな」
やってきたのはグラウンドからかなり離れた場所
アニータ「え…なんでこんな遠くからやねん。木とかも邪魔やし、バックネットの方がえぇやん」
大吾「学校の外からだって、あまり露骨に見物したらまずいでしょ。
偵察だとばれたら注意されるかもしれないし、手の内見せなくなるかもしれないし。だから一番バレにくい体育着を着てきたんだよ」
アニータ「……」
貴「一理あるな」
サッ
大吾「はい、これでよく偵察して。怜花と仁科も」
大吾は私達に双眼鏡を渡す
大吾「カウントは今の打者はわからないから、データは次の打者からとろう」
貴「…これは、紅白戦か」
大吾「だな…ユニフォームの方がレギュラー組か」
カァァン!!
大吾「今のバッター、じっくり見ていくタイプだな。10球投げさせて凡退したな」
アニータ(なんや…!なんなんやこのキャプテン!勝つ気ないんか思うとったのに、わざわざ1回戦の偵察なんかしてめっちゃ用心深いやん!怜花師匠も乗り気で視察してるし…わけわからん、どないやねん!!)
貴「……大吾も、私も勿論睦子達も勝つ気で居るんだよアニータ」
アニータ「!?」
貴「負けていい試合なんて、私達はしたくない」
アニータ「……師匠…」
仁科「…」
最近大吾の事や部の事で、ずっと悩んでる感じのアニータに、私達の思いを伝える
大吾「おい見ろアニータ!怜花達も!」
アニータ「!」
大吾「おそらくあれが五木中のエースだ」
パァァァァン!!!
仁科「……速っ」
アニータ「師匠くらいありそうやん」
貴「ふーん…面白いじゃん…」ニコ
大吾「笑みが怖いから!」
隣で、震えながら伝える大吾
大吾「でもま、おそらく…100%エースで間違いないと思う」
貴「仁科、アニータ。明日から"勝つ気"で、練習だ!!」
仁科「うす!」
アニータ「勿論ですわ!!」