第26章 捕手の腕前2
貴方side
大吾「じゃあアニータが正捕手ってことでいいよ」
睦子「え!?」
貴「…」
何とレギュラーを譲った大吾
睦子「ちょ、ちょっと何それ大吾!アニータのプレー、まだ何も見てないじゃない!」
大吾「いや…まぁ横浜リトルでスタメンマスク被ってたんなら間違いないでしょ。体もおっきいし」
体大きいのは関係ないだろ…
大吾「俺は別にチームが強くなるんならそれでいい。キャプテンで先輩だからって自分のポジションに居座ったりしないよ。
守備練の手伝いもしないといけないからちょうどよかった。バッテリー練習はアニータと怜花に任せるよ」
睦子「……」
納得いかない睦子だが、しばらくして守備練習に戻る
ここにはバッテリー組の私、仁科、アニータが残る
アニータ「なんや、話の分かるキャプテンやないか。よっしゃ、じゃあやろか!二人のボール楽しみやわ!特に先輩のボールは!」
貴「…え?」
何故か名指しで言われ、キラキラ目を輝かせる
___
数分後、私達はアニータに球を受けてもらう
最初は仁科が投げている
アニータ「…」
仁科「……っ!」
パシッ
アニータ「…あかんな、やめややめ!」
仁科「は?」
アニータ「元から大したコントロールでもない上に、30球投げたくらいで球速も制球力もガタ落ちやんか。最初球が速いだけで、こんなもん試合に使えるかいやボケ。
名門出だか、スポーツ推薦だか知らんけど、1から鍛え直さなあかんわ!」
仁科(…ボケぇ…)
言われたい放題の仁科の目が真っ白になる
バシッ!!
仁科「てめぇーもっかい言ってみろ!!ああ!?」
貴「落ちつけ、アニータが言ってる事は本当だろ。実際自分でも、自覚してんだろ?」
仁科「……っむ…」
後ろから抱きつき、仁科を止めに行きながら思ってる事を伝えると渋々ながらも大人しくなる
…根は良い奴なんだろうな
貴「…アニータ、次は私が投げる。準備してくれ」
アニータ「!いつでも準備出来てますわ!本気の球、お願いしまっす!」
貴「……本気か……」
仁科「…」
私は、いつも通り大吾に投げている球を全力で投げる