第7章 三日月の夜に。明けた朝に。
「おっ、、莉乃、
き、昨日は、よ、よ、よく眠れたか??」
軍議の広間に入るなり、なぜだか落ち着きのない雰囲気の秀吉さんに迎えられる。
「うん、眠れたよ。 どうして?」
「あ、いや、ほら、あれだ。 あれ。」
「??」
そこへ政宗が近づいてくる。
「ほら~~~! な?俺が言った通りだろう?
莉乃は派手な柄が似合うって!」
政宗の一声に秀吉さんもはっとして、
「そ、そうだな、莉乃よく似合ってるぞ」
ニコニコと嬉しそうだ。
「秀吉さん、政宗さん、お着物ありがとうございました」
抱擁はないけれどとびきりの笑顔でお礼を伝えると、二人共満足げにうんうんと頷いていた。
「莉乃様は何を着てもお似合いですからね。
なんといっても、日ノ本一の麗しい姫様ですから!」
三成くんのベタ褒めに照れていると、
「みんな、莉乃を甘やかしすぎ」
家康が呆れ顔で皆を見回している。
「家康、 お前もかんざしの一つくらい贈ってやったらどうだ?」
光秀さんが水を向けると、
「・・・・・・・欲しいの?
一緒に城下町に見に行ってあげてもいいけど」
超絶面倒臭いです、という顔でぶっきらぼうにそう言ってくる。
「ぶっっっ、お前の天邪鬼っぷりは筋金入りだな」
家康の髪をくしゃくしゃとかき回しながら、秀吉さんが笑う。
「家康、お前…
なんだかんだお前が一番、積極的だな。
いきなり逢瀬かよ」
政宗がツッコミを入れると
「家康様!逢瀬でしたら私もご一緒に!」
「なんでだよ、お前だけは絶対に来るな」
三成くんと家康の掛け合いにみんなの笑い声が響く広間。
私も釣られて、笑顔になった。
「信長様、ご到着でございます」
小姓さんの知らせに、広間がピリリと引き締まった。