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【イケメン戦国】永遠の始まり(プロローグ)

第7章 三日月の夜に。明けた朝に。


迎えに来てくれた光秀さんと軍議の広間に向かう。



「信長様と『仲直り』はできたか?」


「え??」



ギョっとして光秀さんの顔を見るけれど、いつものように涼しい顔をするばかりで読み取れなかった。



「あの・・・
昨日は酔って醜態をお見せして・・・すみませんでした・・・」



「それは軍議で皆に言うんだな。俺は何もしていない。

お前の演説を楽しませてもらっただけでな。」



「は、はぁ・・・」



しょぼんとする私をちらりと見る。





「その着物、秀吉と政宗からだそうだな。

やつらもお前のことを気にかけているようだぞ。

『莉乃は派手なのが似合う』だの「着物の裾を切って膝出したらどうだ」だの…
早朝からやり合ってたからな。

二人に笑顔で抱擁でもしてやれ」



「ちょっっ、それは…!」



慌てる私を見てくすくすと笑っている。




「もう・・・光秀さんは読めない方ですね。」




「ほう、小娘が俺の思考を読もうとしてるのか?
それは面白い。


どれ、ひとつ練習だ。
俺が今考えてることを読んでみろ。


相手の思考を読むコツはな、目の奥底をよく観察することだ。

そんな距離からじゃよく見えんだろ?

もっと近くで見てみるんだ。」



「やってみろ」と言わんばかりに立ち止まり、私の方に向き合う。


言われた通り一歩近づいて首を上げ、目を覗き込んでみた。



光秀さんの瞳には、真剣な顔をした私が写っていた。



その途端、光秀さんも一歩み寄り、顔の距離が一気に近づく。

見下ろす鼻先と見上げる鼻先が付きそうな位に。



びっくりして慌てて離れると、




「無防備すぎるぞ、バカ娘。

いつ唇を奪われても文句は言えんぞ」



そう言ってさも可笑しそうに笑っている。



軍議の広間に到着する頃には、茹で上がったように蒸気した私ができあがっていた。



今朝までの沈うつな気分が引いていたことに気づいたのは、その後しばらくしてからだった。

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