第1章 永遠の始まり(信長side)
莉乃に手を引かれ燃え盛る本能寺から脱出してきた俺たちは、ちょうど家臣らとともに到着した秀吉と三成に迎えられた。
「の、信長様!! よくぞご無事で!!!
もしも・・・もしものことがあれば、この秀吉っ!!!
信長様の後を追う覚悟でっっ、、、!!」
そう言って暑苦しくにじり寄ってくる秀吉をなだめる。
「信長様、お怪我はございませんか?
火を放った者を探すため、光秀様と政宗様が捜索隊を出しております。安土にいる家康様には早馬で文を出しました。
して、、、 このお方は・・・?」
三成が繋いだままの手をじっと見ている。
それまできょろきょろと周りを見回していた女がハっと慌てて手を振りほどき
「自己紹介は後でします、今は止血をしないと!
応急セットありますか? 救急車の到着はいつでしょう?
あっ、俳優さんたちはこんなところにいちゃだめです!
監督さん、スタッフの方はどちらに??」
矢継ぎ早に飛び出す意味不明な言葉に、いつもは冷静沈着な三成が目を見開き、口をパクパクと開けたまま返答に困っている。
「くっ、
三成のこのような不抜けた顔、初めて見たわ!」
笑いを咬み殺す俺を横目に
「きっと怖い思いをしたから混乱しているのでしょう、
お痛わしい・・・」
慈悲深く見つめる視線が気にならない様子の莉乃は、
「ガーゼとかないんですか?! あぁ、もう!! 」
なぜか怒りながらそう言うと、珍妙な革袋から何やら厚みのある布のようなものを出し、俺の腕の傷を押さえる。
ぐっと押さえるその力は細い腕に似合わず強くて。
暖かさと不安がないまぜのその瞳から目が離せない、
「圧迫止血法です、痛いと思いますけど少し我慢して下さいね」
そんな意味のわからない言葉も受け入れてしまうほどに。
この様子を見ていた秀吉がとっさに莉乃へと詰め寄る。
「おい!!そこの女!!
何奴かは知らぬが、無闇に信長様に触れる事は許さん!
なぜ寺におった?!目論見をさらせ!」
覇気をまとって近づこうとする秀吉を片手をあげて静止する。
「構わぬ、秀吉。やらせておけ。」